町長の部屋4月26日号
「猫のトラ」その9
早朝の馬門ばあちゃんからの電話は決まって「トラ」の事だ。先日もそうだった。
電話の内容は、私が出演している「もてぎテレビ11チャンネル」を、「トラ」はテレビの前にちょこんと座り、私の話をじっと聞いていて、終わるとテレビを離れて遊びに行くのだという。
馬門ばあちゃんは言う。「トラは利口だや。町長さんの話がよくわかるんだから。ホンに大したもんだや」
その話を聞いて眉唾物とは思いながらも少し興味を持ち、私の出演時間に合わせて(この番組は今回の地震の災害状況を町民に知っていただくための番組で一日に何回も録画放送される)馬門の家内の実家を尋ねてみた。
そして、私も驚いた。「トラ」は本当にテレビの前にお座りして私の話を聞いていたのだ。私はうれしくなって、後ろから「トラ」と声をかけた。
「トラ」は私の声に振り返ったのだが、ここで予想もしないことがおきた。「トラ」はとても驚いたのだ。というのは、テレビの中にいるはずの「私」が自分の後ろにも現れたからである。「トラ」は、何度も何度もテレビの中の「私」と今現れた後ろにいる「私」を見比べていて、「私」が二人いることに驚愕し、あるいは、どちらが本物なのか見分けようとしても、どちらも本物で見分がつかないことに大いに戸惑っている様子だった。
その仕草に私は笑い転げたのだが、「トラ」の混乱は深まるばかりで、結局、「ギャオン」というわけの判らない叫び声を残して、縁側から庭に飛び出していった。
その夜、「トラ」は帰ってこなかった。きっと、頭の中の整理がどうしてもつかず、納屋の軒下のいつもの場所で夜遅くまで一人(一匹)悩み続けていたのだろうと思う。
電話の内容は、私が出演している「もてぎテレビ11チャンネル」を、「トラ」はテレビの前にちょこんと座り、私の話をじっと聞いていて、終わるとテレビを離れて遊びに行くのだという。
馬門ばあちゃんは言う。「トラは利口だや。町長さんの話がよくわかるんだから。ホンに大したもんだや」
その話を聞いて眉唾物とは思いながらも少し興味を持ち、私の出演時間に合わせて(この番組は今回の地震の災害状況を町民に知っていただくための番組で一日に何回も録画放送される)馬門の家内の実家を尋ねてみた。
そして、私も驚いた。「トラ」は本当にテレビの前にお座りして私の話を聞いていたのだ。私はうれしくなって、後ろから「トラ」と声をかけた。
「トラ」は私の声に振り返ったのだが、ここで予想もしないことがおきた。「トラ」はとても驚いたのだ。というのは、テレビの中にいるはずの「私」が自分の後ろにも現れたからである。「トラ」は、何度も何度もテレビの中の「私」と今現れた後ろにいる「私」を見比べていて、「私」が二人いることに驚愕し、あるいは、どちらが本物なのか見分けようとしても、どちらも本物で見分がつかないことに大いに戸惑っている様子だった。
その仕草に私は笑い転げたのだが、「トラ」の混乱は深まるばかりで、結局、「ギャオン」というわけの判らない叫び声を残して、縁側から庭に飛び出していった。
その夜、「トラ」は帰ってこなかった。きっと、頭の中の整理がどうしてもつかず、納屋の軒下のいつもの場所で夜遅くまで一人(一匹)悩み続けていたのだろうと思う。

び、びっくりしたニャ~
参考リンク
お問合せ先
- 企画課 広報情報係
- TEL: 0285-63-5616
- FAX: 0285-63-0459