議会が始まって、私が答弁している様子がケーブルテレビで町中に流れている。自分の映像を自分で見るのはなんとも気恥ずかしいので私は極力見ないようにしている。
翌朝、朝食のテーブルで、昨夜のテレビを見た母が、突然「達也も歳をとったもんだ。お辞儀をすると、頭のてっぺんが薄くなってきたのが良くわかる」と言った。私が一番触れて欲しくない話題だ。妻は私の気持ちを察して話題を変えようとするが、今度は父が参戦する。「遺伝だから、どうしようもねえ。祖父さんも、俺もツルっぱげだ」
朝から不愉快になった私は、ご飯をかき込むと急いで２階の洗面所に向かった。そして、愛用している「育毛剤」を普段の倍ほど頭に振りかけたのだ。「俺だって、頑張ってるのに･･･」
頭の毛は少なくなってくるが、せめて気持ちだけは若くいたいと思う、今日このごろだ。