先日、家内の亡父の１３回忌を行った時のこと。ご霊前に亡父の好物だった「トンカツ」をあげたが、一晩のうちに猫のミーコにすべて平らげられてしまった。朝になって気付いた家内が「ミーコ。じいちゃんのトンカツを食べてしまうなんて何を考えているの。」と、ミーコに向って怒鳴ったが、ミーコは悪びれた様子もなく、逆に「私はやっていません」と言わんばかりに、シレっとしている。妻はますます逆上して、「しらばっくれんじゃありません。髭にトンカツの衣のカスがついています。証拠はあがっているんです」なんて、まるで科捜研の女になったように追及の手を緩めない。とうとうミーコが「ニャーウオ」（ゴメンナサイ）というように鳴いて家内の足にすり寄ったが、「今さら、そんな猫なで声をしても駄目です」と、一蹴されてしまった。
その日一日、ミーコは元気がなく、終日、縁側で寝そべっていた。家内に叱られたのが相当こたえたのだろう。家内は家内で、「あのトンカツ高かったのに。せっかく今日、かつ丼にして食べようと思っていたのに」と一日中、ぶつぶつとぼやいていた。