休日、少し時間が出来ると家内の実家に駆けつけて家内の一人農業を手伝っている。実は、２ヶ月ほど前に家庭菜園用の耕運機を購入した。家内の草取りを少しでも楽にしてやろうと思ったからだ。
　しかし、いつの間にか耕運機係りは私の役となってしまった。購入してすぐに私が試運転をしてみたが、家内が「お父さん手馴れた手付きね。とても上手」なんて褒めに褒める。調子に乗った私は、結局、その日、かなりの面積の畑を悪戦苦闘しながらも、うなってしまったのだ。それ以来、私は耕運機係りとなった。今にして思えば、まんまと家内の術中にはまったと言ってよい。
　ただ、次第に慣れてくると、耕運機を通じて土に触れている事に何ともいえない気持ちよさを感じてくるようになってきた。雑草がなくなり、土が軟らかくきれいになった畑を見ると清々してくる。そこに畝をたてて、「今度は何を植えようか」などと、家内と話している事がとても楽しいのだ。
　商人であった私の中に、農民のＤＮＡが少し混じっているのかもしれないなどと、本気で思い始めている。