ふみの森もてぎ叢書２「精選　ふるさとの詩歌」を読んだ後、もう一度、「山頭火」の句を読み返してみたいという思いが強くなり、先日、図書館で「山頭火全句集」を借りてきた。
　私が山頭火の句に出会ったのは高校時代であったが、漂白流転の俳人「山頭火」の作品には強烈な印象を受けたのを覚えている。

分　け　入　っ　て　も　分　け　入　っ　て　も　青　い　山
ま　っ　す　ぐ　な　道　で　さ　み　し　い
ほ　ろ　ほ　ろ　酔　う　て　木　の　葉　ふ　る
う　し　ろ　す　が　た　の　し　ぐ　れ　て　ゆ　く　か
雨　ふ　る　ふ　る　さ　と　は　は　だ　し　で　あ　る　く
さ　て、ど　ち　ら　に　行　こ　う　風　が　ふ　く

　山頭火は自身の俳句を「気合、禅坊主が大声で脅す喝のようなもの」と言っているが、私にはあまり理解できなかった。それよりも、自らの在るべき場所を探し出すことができず放浪する自分自身への苛立ち、心理的葛藤、悩み続けた果ての心の叫びのように受け止めていた。

や　っ　ぱ　り　一　人　が　よ　ろ　し　い　雑　草
や　っ　ぱ　り　一　人　は　さ　み　し　い　枯　草

　山頭火に出会った頃の自分を恋しく思う。