3日前からミーコは元気も食欲もない。納屋の寝床に入ったまま動こうとしないのだ。顔もほっそりとしてやつれたように見える。妻と相談して犬猫病院に連れて行くと、獣医さんからは「風邪」と診断され、注射を2本打たれた。猫も風邪をひくのだと初めて知った。
　その夜、私は久しぶりにミーコを抱いて寝た。ぐったりとしたミーコは私の腕を枕にしてピクリともせず眠り続けた。
　翌朝、私はミーコに顔を舐められて目が覚めた。「おはよう、大丈夫か」というと、ミーコはニャオと鳴いて布団の中から出て、枕もとで大きく伸びをした。昨日の注射が効いたらしく、少し元気を取り戻したようであった。猫用のスープを与えると、おいしそうに飲み始めた。食欲も戻ってきたようだ。私は「良かったな」と言いながらミーコの背中を優しく撫でてあげた。
　ミーコが元気でないと私も元気が出ない。何はともあれ、良かった。