江川卓著『巨人論』を読んだ。表紙の帯に「巨人時代の秘話」「令和の巨人軍解説」などの見出しがあり、興味をそそられたからだ。今の巨人軍を、かつての大エースで解説者としても評価の高い江川氏ならどう見るのか。どう切り込むのか。
　しかし、読んでガッカリ。巨人軍賛美のオンパレード。原監督をはじめとするコーチ陣も選手もみんな素晴らしいと褒めちぎっている。ベテランの長野や松田を獲得したのは大きなプラス材料だなどとも述べている。挙句の果てに、「巨人の場合、毎年勝たなければならないという宿命があるから、どうしても育成に時間をかけるのは難しい」ときては、思わず本を破いて投げ捨てたくなった。鋭く切り込んでの問題点の指摘もないし、これからの巨人軍をどうしていくのかと言う提言もない。こんな本買わなければよかったと思ったものだ。
　今の巨人軍首脳陣が江川氏と同じ考えだとしたら、この先も巨人軍の復活など望むべくもない。